令和3年度 花まつり寄席の前に

ようこそ、慈光寺にお詣り下さりありがとうございます。
昨年は、4月26日に花まつりを行う予定でしたが、
新型コロナウイルス感染拡大防止から北海道と札幌市に共同で緊急事態宣言が発令されました。
やむなく花まつりを中止することにいたしました。

その後、5月16日に、お寺のFacebookを使って、オンライン中継を試みました。

そもそもお寺は宗教行事を行う場所でありながら、
宗旨宗派を問わず、人が集えるところでもありました。

本堂や境内地で様々な催し物を行い、出店が並び、後には門前町が作られました。
今でもその面影を残している場所は多くあります。

お寺に来ることは、人々にとっては楽しみであったわけです。
その中でもお寺で「寄席」は江戸時代などでは盛んに行われていたと言います。

昨年は、お釈迦様がお生まれになり、その後の悟りを開くまでのお話をいたしました。
今回は、お釈迦様が弟子たちに残した言葉を少しひもといていこうと思います。

あまり難しくならないようにと思い、お言葉を残した書物を見ながら、
今の私たちにも通じる言葉を取り上げてみましょう。

それは『ダンマパダ』といわれ、
お釈迦様が残した言葉、「真理のことば」と言われています。

26章に分かれていて、423の詩を収録しています。
その全部をお話しする訳にいきませんので、いくつかをご紹介して、私のお話といたします。

 愚か者とても 愚かなりと思う者は それによりて すでに賢き者なり

 されど 賢しと思う愚か者 かれこそ愚か者といわる

 

 悪しき友らと交わるなかれ 下劣な人びとと交わるなかれ

 善き友らと交われ 最上の人びとと交われ

日常で私たちが何となく聞いているような言葉かもしれません。
始めの言葉は、まさに謙虚に生きることの大切さを伝えていると思います。

二つ目は、善き友、良き環境が大切だと言っています。類は友を呼ぶとでもいえますね。

もう一つ、内容は難しいですが、ご紹介いたします。

 もろもろの道の中にては八つの部分より成るもの最も勝れ

 もろもろ真理の中にては四つの句最も勝れ

 もろもろの徳の中にては欲を離るること最も勝れ 人びとの中にては具眼者最も勝る

この言葉はとても難しい言葉ですが、その中で、「八つの部分より成るもの」というのは、
人が生きていく中で、仏の教えを信じて生活する中で、八つの道を大切にすることを言っています。

「八つの正しい道」、これを「八正道」といいます。

  1. 正しく見る。
  2. 正しく考える。
  3. 正しい言葉を使う。
  4. 正しい行いをする。
  5. 正しく生きていく。
  6. 正しく精進していく。
  7. 正しく周辺の状況を理解していく。
  8. 正しく集中して実践していく。

この八つの行いをいいます。言葉で言うのは簡単ですが、いざ実践となると、簡単ではありません。

仏の教えは、自分自身を、つねに正確に見つめることから始まっているのではないでしょうか。

言葉を聞いて、うなずき、納得するけど、それが心の中に残るのかどうかは、
自分自身をみつめることではないかと感じます。

優しくお話しができたら一番ですが、仏教って、中身は難しい、
でも求めていることは、決して難しいことではないのかなと感じています。

言葉を使わないと、どうしても伝えられない、
でも今、人と接する機会がどんどん減っています。

ZOOMでの会議、ネット通販、ネット予約。
人と話すことが少なくなっている、そうせざるを得ません。

「正しい言葉」とは何なのか、人に問うても、正確に伝わるのか分かりません。

言葉だけが一人歩きして、ネットでは「炎上」なんてことが起こります。

人が使った「言葉」が武器となり、突然、目に見えない攻撃が起こる。

正しく見て、正しく考えることができれば、
そのようなことは起こらないのではないかと思っていても、
それは自分だけのことで、正しく伝わっていない。

たとえ正しい行いをしても、誰もそれは分かってくれない。

仏教ではつねに人の正しい行いを説きます。
仏教はまるで制約のある教えのように思います。

たしかに、様々な条件をクリアしていかないとならないかもしれませんが、
それだけが仏教ではないと私は思っています。

様々な理解の仕方について、いろいろありますが、
今思えるのは、心を素直に何事も捉えることが、このような状況で一番大切なのかもしれません。

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